内科医師の立場から、現在の医療問題について考えるブログです。 あくまで現場からの気持ちを大事にしたいと思います。


医事紛争1
1999年を境に,新聞で医療事故という言葉が急増したようです。

それは,すなわち社会的に認知されるようになったという事。

今まで,闇の葬られてきた,医療に伴う事故が公になるようになり,
それに伴って医療訴訟も増加の一途を辿っています。


最近様々な分野でいわゆる「クレーマー」が増えているようですが,
病院関係でもそれは同じ事。

飲食・販売業などお客様相手の職種では,そのような苦情に対応するのに
たくさんのノウハウが蓄積されていますが,
医療界−普通の病院−には,クレーマーに対応する
「お客様相談室」
なるものは基本的に存在しません。

医療の世界では,クレームに対する免疫が非常に少ないと思います。
患者からのクレームでうつ病になる事務員もいるようです。

個人主張が強くなった現代日本社会では,
その強い個人主張に対抗するための対策が大事になってきています。

互助精神のあった古来の日本を懐かしんでいても仕方がありませんので,
それなりの対応を考えていかなければなりません。



医師偏在
地域病院での医師不足が言われて久しい。
医師が大都市に偏在し、地域病院での医師が不足している。

地方では医師を繋ぎ止めようとして、様々な施策を打ち出し始めている。


「医学生に“破格”奨学金」
http://www.shikoku-np.co.jp/national/medical_health/article.aspx?id=20071102000272


大学生に月額40万円は、与えすぎであろう。

上の例は極端だが、国の施策も似たようなものだ。
地方の医学部の定員を増やしたり、奨学金を追加したり。


「お金を増やす」という方法は、見返りがはっきりしているし、人にとって「お金」といわれれば、はっきりしていてわかりやすい。
しかし、あくまで「手っ取り早い」方法という感が否めない。

今のご時勢、お金が欲しくて医師になる方は少数であろう。


医師が都会に集まる理由の一つとしては、
医師としての技術力の維持があるだろう。

都会には人口が多く、それだけ症例数も多い。
症例数が多ければ、知識や技術を得る機会も多い。
患者が多ければ、概して、医師も多く、教育を得る機会も多い。

もちろん、地方の医療レベルが低いといっているわけではない。
ただ、地方の医療を担ってきた大学医局制度が崩壊した今、医療教育機関としての地方大学の力は失われている。


あくまで技術職の一つである医師である以上、
特に若い研修医の心理としては、上記の理由で大都市圏に集中する結果となる。


国の施策として、「医師のキャリアアップを保障できる」という点でも、
医師の偏在化是正を考えて頂きたいと、思っている。


追記:こんないいニュースが入ってきました。

「地域医療の寄付講座広がる/自治体の医師確保で大学に」
http://www.shikoku-np.co.jp/national/medical_health/article.aspx?id=20071110000058&ref=rss

このような動きがどんどん広まっていけばよいなと思います。